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<日本インターフォーン>(非上場)

倒産の続報。非常貸借対照表、別会社をめぐる動き
2009年7月22日

本社:東京都杉並区西荻北2−27−13   TEL:03−3395−1171 
代表者:澤谷 亮氏   資本金:1億2,000万円   従業員:90人
業種:インターホン・通信機器の製造、販売    08年9月期売上高:15億1,000万円
  
日本インターフォーンの倒産速報(法人サイトのみで公開、6月19日付)

経営が行き詰まり、既報のように6月17日付で弁護士に処理を委任、その後6月末には不渡りも出すなか、自身は特別清算を申し立てて業務の一部については事前に設立した別会社で継続する方向となっている。会社側ではこうした手続きに対して理解を求めるため、7月15日に杉並区勤労福祉会館に債権者を集めて任意の債権者説明会を開催した。会議の席上では、6月末時点での「非常貸借対照表」が配布された。それによると負債は12億3,656万円で、対する資産は5億8,990万円、この時点で6億4,666万円の債務超過となっている。

 ただ会議の席上で弁護士サイドが明らかにした試算では、このまま日本インターフォーンとして破産に移行した場合には弁済率は5〜7%にとどまるが、自身は特別清算してエレベータホンなどの事業を別会社で継続、その別会社をスポンサーに売却した場合にはその売却代金を弁済原資として20%の配当が見込めるとしている。このスポンサーとはまだ正式合意しているわけではなく、またスポンサー名も明らかにされていないが、某ファンドマネージャーとみられている。

 債権者説明会にはおよそ200人程度が参集、会社側からも澤谷亮社長など経営陣と弁護士が出席、およそ2時間にわたって開催された。内容としては経営行き詰まりに至った事情説明と、特別清算および別会社で一部事業を継承することへの理解を求める説明があり、今後は債権額の3分の2以上の債権者の同意が得られれば裁判所の認可を得て特別清算手続きに移行することになる旨の説明があった。

 また後半の質疑応答では、エレベータホン事業だけを存続させる別会社が日本インターフォーンの経営行き詰まりが表面化する前に設立されていることへの疑問の声や、さらに今後の事業継続への取引条件などへの問い合わせの声があった。ちなみに今後の取引条件については、現金による月末締め翌月末払いを会社側は希望しているが、納得できない業者などとは個別交渉するという言い方にとどめている。

 なおエレベータホンを継承する別会社は、社名が「NIC」で、日本インターフォーンの社員のうち10数人が異動したとみられ、エレベータ用のインターホンの開発、製造、販売を専門に行い、会社側では年商5億円を見込んでいるとしている。代表者には同事業のもともと責任者だった一家正昭日本インターフォーン常務が就任している。設立は当初の会社側の説明では6月15日付としていたが、その後今年4月7日付であることが明らかになっている。

 当日質問も出たこの点が不明朗であることについて会社側では「準備期間を経て徐々にエレベータホン事業に事業実態を移していく狙いだった」とさかのぼって会社を設立していた経緯を説明しているが、生き残りをかけて受け皿を用意しておいたという批判が免れない側面はある。実際に日本インターフォーンの資産には、この新会社への資本金出資分1,000万円と、貸付金5,000万円が含まれており、資金が事前に流れている形となっている。

 また会社が説明した経営行き詰まりの背景としては、昨年10月以降の景気悪化で受注が減少、今年4月からは前期比半減の状態となり、さらにインターホンメーカーという特質からメンテナンスの必要性のために1万2,000点以上の部品在庫を抱え、棚卸資産が膨らんでいたことなどを挙げている。

 こうしたなかで、信用不安から4月末には手形割引の停止を受け、6月12日には戸田工場(埼玉県戸田市)を閉鎖して社員についても7月12日付で解雇する通知を出し、一方で同17日には弁護士に処理を委任、こうしたなかで6月30日に1回目不渡りを、7月2日に2回目不渡りを出すという経緯となっている。なお事後処理および特別清算の申し立てについては、植草美穂弁護士、下村文彦弁護士(ともに東京四谷法律事務所、TEL03−3358−0151)および赤羽宏弁護士(銀座法律事務所、TEL03−3538−5551)が受任している。

 なお日本インターフォーンは、1949年11月の設立。テレビドアホン、エレベーター用インターホンを主力に、放送用連絡装置やナースコールなども製造、販売していた。ドアホンは住宅メーカーなどへのOEM供給も行っていた。従業員は倒産前の時点ではおよそ90人いた。かつては年間売上高も20億円を超え、05年9月期には22億9,400万円の売り上げがあったが、06年9月期には売上高19億7,000万円、07年9月期は同15億8,000万円、08年9月期は同15億1,300万と減少経過で、さらに前述のようにその後はさらに半減レベルになっていた。

◇日本インターフォーンの貸借対照表(09年6月末現在、単位:円)
資 産 の 部 負 債 の 部
科  目 金 額 科  目 金 額
【流動資産】 387,575,613 【流動負債】 427,284,850
 現金・預金 3,971,935  支払手形 127,062,980
 受取手形 47,181,141  買掛金 48,768,883
 売掛金 140,624,278  短期借入金 119,953,753
 棚卸資金 29,396,764  未払金 29,653,452
 短期貸付金 50,000,000  預り金 5,056,802
 未収入金 31,349,000  未払退職金 51,090,038
 弁護士預け金口座 85,052,495  未払消費税 2,372,643
【固定資産】 202,330,696  リース未払金 19,160,539
 (有形固定資産) 162,441,694  解雇予告未払手当 24,165,760
  建物 1,758,947 【固定負債】 809,281,484
  建物付属設備 1,653,947  長期借入金 630,281,484
  土地 159,028,800  私募債 179,000,000
 (無形固定資産) 36,000 負債合計 1,236,566,334
  電話加入権 36,000  
 (投資その他の資産) 39,853,002  純資産の部
  投資有価証券 29,619,002 【株主資本】 −646,660,025
  敷金保証金 462,000  資本金 120,000,000
  子会社株式 9,772,000  (利益剰余金) −759,636,075
     利益準備金 30,000,000
  その他利益剰余金 −789,636,075
   任意積立金 25,000,000
   繰越利益剰余金 −814,636,075
 自己株式 −7,023,950
純資産合計 −646,660,025
資産合計 589,906,309 負債・純資産の部合計 589,906,309