購読料金
 (毎日更新)
法人向けサイト 月額 3,900円 (年払い、プラス年間1万円で週刊ジャーナルも郵送)
個人向けサイト 月額 2,500円 (6カ月 or 年払い、年間契約は1カ月分サービス)
 HOME企業動向 > 企業動向見本
<シークス>(7613)

初の生産拠点、国内EMS参入。FDK工場買収は断念
2009年12月22日

 外注先の工場を買収、国内で初めて直轄のEMS生産拠点を確保する。シークスはこれまで国内でのEMSニーズにはほとんど対応しておらず、受注しても海外工場に委託して輸入していたためロスがあった。これを機に今後は国内EMS受注を本格化させる構え。一方今年10月に合意していたFDKの中国および台湾工場買収については、中国蘇州工場のストライキ発生など反発を背景に、断念した。ただFDKとの提携は継続、今後はビジネスベースで同工場を活用していく。

 シークスは、神奈川県相模原市城山町の敷地4,215平方メートルと、鉄筋コンクリート造り4階建ての工場棟および研究所と2階建ての研究所の合わせて延べ床面積5,914平方メートルの建物および関連施設を取得する。これは外注先で若干だが出資もしている東洋アイテック(大阪府守口市)が神奈川工場として活用していたところを買収するもの。正式契約と引き渡しは2010年2月の予定。なお取得するのは土地、建物、関連設備だけで、同工場で手がけていた事業および当該従業員40人の処遇については未定。シークス側では「東洋アイテックの意向を踏まえて今後詰めていきたい」とコメントしている。

 頭記のように、これまでシークスは国内に直轄の生産拠点はなかったため、今回の取得工場は初の国内生産拠点として位置づけられる。国内でのEMS、設計・技術開発に伴う実験・試作などの受注に対しては、これまで海外で対応しており、このため受注規模も少なかったが、今後は直轄拠点を確保することで本格化させる構え。国内EMS受注への本格参入に位置づけられる。

 なおこの新工場の受け皿として、シークスでは2010年1月に全額出資子会社(資本金8,000万円)の「シークスエレクトロニクス」を設立予定で、この子会社を通じて前述神奈川県相模原の工場を運営することになる。

 一方海外では、基本合意していたFDKの中国蘇州および台湾の子会社買収について白紙撤回した。買収によってシークスでは液晶モジュール事業に参入、自身のEMSと連携させていく計画だった。シークスによれば、買収は撤回したがFDKとの提携は継続、今後はビジネスベースでFDKの現地工場を活用していきたいとしている。

 買収を断念したのは、FDKの完全子会社である中国の蘇州FDK(江蘇省蘇州市)と台湾の富積電子(台湾桃園市)。特にこのうち中国蘇州の工場において、買収が表面化して以降現地で従業員のストライキが発生、FDK側から製品の供給責任の観点からいったん売却を白紙に戻したいという申し入れがあったとする。現地の従業員は親会社の交代による不安感もだが、親会社が変わることでいったん退職金を要求する動きなどもあり、ストライキに入っていたもの。中国での事態収拾が難しいとみてシークスでも台湾の買収も含めていったん白紙撤回を決めた。

 なお中国と台湾の2社はともに薄型テレビやパソコンモニターの液晶パネル向け画像処理モジュールの製造を手掛けており、蘇州FDKは従業員1,090人、09年3月期売上高は110億3,300万円、富積電子は同444人、65億8,000万円という規模となっている