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<シルバー精工>(6453)

不渡りの続報。スポンサー候補との交渉続き、正念場へ
2011年1月28日
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 昨年末に銀行取引停止処分を受けているなか、スポンサーとの交渉が大詰めに来ている。経営の行き詰まりが表面化した直後から支援の動きはあり、会社側によれば「複数の会社がスポンサー候補として名乗りをあげるなかで、そのなかの1社と具体的な交渉が進んでいる」という。半面、当初合意のメドとしていた上場廃止となる1月末までの合意は絶望的な状況で、現在では「2月中旬までには合意に漕ぎ着けたい」としている。

 ただ銀行取引停止処分以降は工場における部材調達はすべて現金で行っており、資金面では「ギリギリの状況で余裕はない」としている。このため今回のスポンサー交渉が合意に至らなければ既に後はないとう状況とみられ、依然として経営状態が緊迫していることに変わりはない。なお現在最終交渉をしているスポンサー候補は、VCなどではなく「業界内の某社」という言い方をしている。ちなみに上場は1月29日付で廃止となることが決まっている。また今のところ法的申請などは行われていない。

 シルバー精工は、昨年末の12月28日付で銀行取引停止処分を受けたが、業務はその後も継続しており、銀行取引停止処分以降は部材調達をすべて現金決済で行っている。部材調達については、前渡金を要求する納入業者が多いが、すべてを前払いにすることは困難で、業者ごとに個別対応で1〜2週間後の現金払いなどで対応してもらっているとする。ただ実際には応じない業者も何社かあるとみられ、「部材調達はスムーズに行われていない」(会社側)とコメントする。このため製品化にも支障が出ているもようで、一日も早いスポンサー確保が事業継続には不可欠な状況となっている。

 ちなみに国内単独は従業員60人、また国内に生産子会社として柏崎シルバー精工(新潟県柏崎市)に160人、中国蘇州の生産子会社に60人の計280人という規模については、行き詰まり後も大きくは変動していない。

 シルバー精工が銀行取引停止処分にいたった経緯としては、既報のように特殊事情も絡んでおり、この点では裁判所を通じて告訴することも現在検討中としている。不渡りの経緯については、もともと欠損が続き運転資金が不足するなか、10年3月21日に「金銭消費貸借契約書」に基づき、同年5月16日を返済期限として5億円の借り入れを行い、さらにその借入先との協議により同年12月16日を返済期限に変更、その際に担保として5億円の約束手形も差し入れた。しかし返済期限までに返済のメドが立たず、借入先との協議でも合意が得られず、保証担保として差し入れていた約束手形が郵送で銀行に回されて不渡りとなったというもの。

 ただシルバー精工側の見解では、不渡りとなった約束手形は担保として差し入れたもので、取り立てに回されることは本来はありえず、このため不渡りという認識はなかったとする。ただ金融機関ではこれは当事者間の事情という判断で、異議申し立てができる2号不渡りではなく、通常の不渡りである1号不渡りという判断となっており、銀行取引停止処分という措置となったもの。

 シルバー精工は、52年10月に丸越編物機械として設立され、55年5月にシルバー編機製造へ改称、編物・織物機器、および同部品の製造販売を手がけ、64年3月東証2部へ上場した。その後事務機部門にも展開、欧文タイプライタの製造なども始め、67年6月に現商号へ改称、84年9月東証1部に上場していた。90年代前半には年間売上高も150億円近くに達していたが、編み機市場が縮小、近年はカラープリンタなどの情報機や掃除機などの家庭機器へシフトしていたが、前10年3月期には売上高は34億4,700万円にとどまり、最終損失は19億7,700万円に達していた。