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<メイコー>(6787、ジャスダック)

原発被害の福島工場再開へ。国内基板実装から撤退も
2011年6月1日
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 国内での基板実装から撤退する。また原発事故の影響から操業停止に追い込まれている福島工場(福島県広野町)については、7月から一部ラインを再開させる見通しであることも明らかにした。

 基板実装は、国内では全額出資子会社のメイコーファイン(神奈川県大和市)で行っていたが、既にベトナムや中国が主力になっていることもあり、国内受注からは撤退、伴ってメイコーファインは閉鎖、清算入りさせることにした。メイコーファインには数10人近い従業員がいたが、大半はパート社員で、数人だった社員については配置転換する。なおメイコーファインの11年3月期業績は、売上高が5億4,100万円、経常利益は1億4,300万円の欠損、当期利益は1億4,400万円の欠損で、ここ数年欠損が続いており、財務面でも債務超過状態となっていた。メイコーファインは6月30日付で解散する。

 また子会社関連では、ほかに片面板の販売など他社製品のプリント配線板販売など商社業務を行っていたマルチテック(本社はメイコーの本社と同一)を、7月1日付で「メイコーテック」に社名変更することも決めている。グループ色を前面に出すのが狙い。

 一方原発事故以降、操業停止状態となっていた福島工場については、7月から再開させる方向で調整している。福島工場は、一部設備などの修理が必要で、工場内は設備が散乱している状態だが、壊滅的被害を受けた宮城工場(宮城県石巻市)に比べると損壊は小さかった。ただ福島第1原発から23キロの距離にあり、当初は立ち入り禁止区域となるなど操業再開のメドが立たなかった。4月21日から基準が見直しになり、同地域が「緊急時避難準備区域」となったことから出入りが可能となり、部分的に操業を再開させることになった。もともと100数十人の従業員が勤務していたが、当初は3分の1程度の人員で再開、放射能リスクなどもまだ残っているため当面は部分稼働にとどめる見通し。

 メイコーは、宮城と福島の生産拠点が地震と原発事故の影響から操業停止に追い込まれているほか、主力用途先市場のひとつである自動車メーカー大手が操業度を落としているのが響いており、足元受注についても落ちている。前11年3月期は、売上高は747億2,400万円と対前期比で増収だったが、震災関連で54億2,500万円の損失を計上したこともあり、最終では30億9,400万円の欠損だった。

 ただ既報のように、当初は「未定」としていた今期業績予想については、9月中間では売上高が360億円(前年同期比6.2%減)、経常利益は2億円の欠損、当期利益は3億円の欠損にそれぞれとどまるが、通期では売上高が前期比7.1%増の800億円にまで持ち直し、経常利益は同12.8%増となる24億円の黒字、当期利益は18億円の黒字回復になるとしている。ちなみに今期の業績予想には福島工場の操業停止被害に対する東京電力への損害賠償金などは織り込まれていない。

 また中期計画では14年3月期に対11年3月期比でおよそ4割増となる売上高1,050億円という目標を掲げている。用途別ではモバイル機器向けを強化する構えで、モバイル向けは前期実績では75億円の売り上げだったが、今期には104億円に、さらに14年3月期には210億円にまで引き上げる計画となっている。