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<シコー>(6667)

好調な受注を円高が帳消し。大幅増収だが欠損拡大
2010年8月17日
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 好調な受注を急速な円高進行が帳消しにしている。今10年12月期の6月中間決算は、売上高については前年同期が低水準だったこともあり前年同期比2.2倍になるという躍進だったが、当期利益は黒字回復予想を下回り逆に欠損幅が拡大した。

 シコーは、主力製品の携帯電話向けオートフォーカスリニアモータがスマートフォン市場の拡大もあり受注回復、6月中間は前年同期は29億5,200万円の売り上げだったのが64億3,900万円にまで達し、売上高予想の62億円も上回った。さらに増収効果もあって売上原価率が前年同期比で一気に17.6ポイント低下、原価率は75.8%となり、営業利益は5億3,300万円の黒字回復を果たした(前年同期は5億8,100万円の欠損)。

 しかしこうした好業績をすべて帳消しにしたのが円高の進行による為替差損および特別損失。為替関連では、対ドル相場の円高進行による外貨建資産の邦貨換算による為替差損4億5,100万円を営業外費用に計上、さらにデリバティブ評価損5,200万円や訴訟和解金、繰り延べ税金の取り崩しなども加わり、当期利益は従来予想の1,300万円の黒字に対して2億1,400万円の赤字となっている。ちなみに前年同期は1億3,100万円の赤字で、今期は欠損幅についても拡大となっている。なお訴訟和解金は、材料メーカーからシコーが製造するモータの構成部品が同社の特許を侵害しているという申し入れを受けたことに絡み、8,700万円の関連損失を計上したもの。

 受注そのものは好調で、中国の生産子会社に増産投資をして対応するほどだが、円高による採算圧迫という新たな問題が発生、圧迫している図式で、さらに円高が進むと圧迫は強まることも懸念される。シコーは、そうでなくても金融機関と借入金について結んでいるシンジケートローン契約に抵触しているという問題もある。これは金融機関とのシンジケートローン契約により、財務制限条項を「純資産の75%以下」と取り決めているもの。欠損継続でこの条項に抵触している。

 なお通期予想については、今年6月に前述訴訟和解金の発生など特別損失を織り込んで下方修正したものから今回は変更していない。ただこれは下期で挽回可能とみているわけではなく、為替変動の今後の影響を予測することが困難なため、と説明している。通期予想は、今のところ売上高126億円、経常利益4億5,000万円、当期利益1億1,300万円となっている。