半導体や液晶画面で構成されているパチンコ・パチスロ機器はもとより、台間玉貸機、ホール管理のシステム機器など遊技機器市場はエレクトロニクス業界と関連が深い。
その遊技機器市場は、ギャンブル依存症対策として導入された風営法改正がいよいよこの2月から施行されている。移行期間などもあるため、すぐに出玉がおよそ3分の2に抑えられた新基準機ばかりがホールに並ぶというわけではないが、緩やかに移行していくのは避けられない。
もともと市場衰退が言われているパチンコ・パチスロ業界にとって、新基準機はパチンコ・パチスロ離れを加速させてしまうのか、あるいは逆に健全な娯楽として新たな発展に向かうことができるのか、注目される。
警察庁生活安全局の取りまとめによると、パチンコ・パチスロ店は2012年末の段階では、全国に1万2,149店あったが、2016年末にはこれが1万986店にまで減少している。一見すると、店舗の減少数はそこまで深刻ではないが、店舗規模でみると別の側面が見えてくる。2012年には1店舗あたりの機器台数が1,000台以下だった店舗は340店舗だったが、2016年には247店舗にまで減少、逆に1,001台以上の大型店舗については、190から287へと大きく拡大している。つまり、淘汰が進み、駅前の小さなスペースで営業していた小型店がなくなり、反対に広い駐車場スペースを確保した大型店が増えているという構図となっている。
また設置台数を機器ベースでみると、2012年にはパチンコ機器が304万台余、パチスロ機器(回胴式遊技機器)が155万台弱で、全体では459万2,000台という市場規模だったが、これが2016年にはパチンコ機器283万台余、パチスロ(スロット)169万台余で合わせて452万5,000台となっている。店舗の機器設置台数としては、パチンコ機器の減少をパチスロの増加がカバーしている形となっている。
さらに日本生産性本部がまとめた「レジャー白書 2017」によれば、パチンコ人口はおよそ940万人とされ、前年の1,070万人から減少、1,000万人を割り込んだ。パチンコ人口は、さかのぼる2002年には2,170万人いたとされているから、この15年間で半減したことになる。一方2016年における貸玉(売り上げ)規模は21兆6,260億円だが、2,000万人を超えるパチンコ人口があった2002年の貸玉規模は30兆4,420億円だった。つまりこの15年でホールに足を運ぶ人数は半減したが、ユーザーが消費する金額は29%減にとどまっているということになる。人数の減少ほど金額が落ちていないということは、それだけ1人当たりの消費する金額が増えているということにほかならない。
これらの数字から浮かび上がる遊技機器市場の足元の構図としては、小型店ではなく人気の新機種を相次ぎ導入する大型店が増えており、さらにユーザーはヘビーユーザーを含めた固定的なユーザーが中心で、またパチンコよりもパチスロに根強い人気があるということになる。
なお遊技機器としての市場は、16年度はパチンコが5,245億円、パチスロが3,576億円で、合計8,821億円とみられている。この数字は、国内家庭用ゲーム機の3,500億円を大きく上回り、スマホゲームアプリの9,700億円と比べてもそこまで差はない。
また前出「レジャー白書」の集計よれば、日本人の余暇(レジャー)市場としては、パチンコ・パチスロは、「飲食」の26.6%、「観光」の14.9%を上回り、30.5%のウェートを占めている。飲食の定義などが曖昧でそのまま受け取るのは難しいデータだが、停滞感があるとはいえまだ大きなマーケットであることは間違いない。
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