電子部品商社における経営統合など再編の動きが続いている。なかでも上場大手はその傾向が特に強く、20年3月期売上高予想でトップ3を占める3社は、いずれもここ数年で大きな経営統合策を実施している。
<マクニカ・富士エレ ホールディングス>
19年3月期においてマクニカ・富士エレ ホールディングスは5,242億3,500万円の連結売上高があり、上場の電子部品専業商社としては首位の座を占める。
マクニカ・富士エレ ホールディングスは、さかのぼる4年前、2015年4月1日付でマクニカと富士エレクトロニクスが経営統合して現在の形となり、その持株会社が上場を維持している。
統合前のマクニカの14年3月期売上高は2,559億円、一方の富士エレクトロニクスは2月決算で14年2月期売上高は473億円だった。この時点で統合会社の売上高は3,000億円ということになるから、前期までの4年間で2,000億円以上の増収を果たしたことになる。
マクニカ・富士エレ ホールディングスの今期20年3月期は5,400億円の売上高を計画しており、引き続き専業上場商社では最大手の存在を維持する。
<レスターホールディングス>
2019年4月1日付で、UKCホールディングスとバイテックホールディングスが経営統合、新たにレスターホールディングスが誕生した。
旧UKCホールディングスの19年3月期売上高は2,057億7,100万円、一方バイテックホールディングスは今年2月時点での19年3月期売上高見込みは2,100億円だった。両社が経営統合したレスターホールディングスとしての初年度となる20年3月期は売上高4,100億円を予想している。
さらにレスターホールディングスにおいては、経営統合後の今年5月に、投資会社のシンプレクス・アセット・マネジメントから、同社が保有していた菱洋エレクトロの株式を買収している。これによりレスターホールディングスは、菱洋エレクトロ発行済み株式の21.89%を握る筆頭株主に躍り出た。
現段階では、レスターホールディングスは、菱洋エレクトロの筆頭株主に過ぎないが、それでも2割余の株式を握る大株主という存在である。ちなみに菱洋エレクトロは1月決算で、前期の19年1月期売上高は937億9,900万円だった。今後については未知数だが、仮にレスターホールディングスの出資比率が過半を超え、菱洋エレクトロがグループに加わるということになると、単純合算では全体売上高は5,000億円規模となる。
<加賀電子>
加賀電子は、富士通系列の電子部品商社、富士通エレクトロニクス(横浜市港北区)を買収することで2018年9月に合意している。
買収は、3段階に分けて行う。加賀電子は、富士通エレクトロニクスの全株式を保有している富士通セミコンダクター(横浜市港北区)から、最終的には全株式を取得して完全子会社化する予定。最初は2019年1月1日にまず同社発行済み株式の70%を、さらに2020年12月に15%を買い増しして同85%を取得、最終的には2021年12月に完全子会社化するという計画。
買収合意時点では直近の加賀電子の18年3月期売上高は2,359億2,100万円、一方の富士通エレクトロニクスは同2,587億300万円だった。合算すると両社の売上高は5,000億円に迫る。ちなみに直近の19年3月期では、加賀電子は2,927億7,900万円、富士通エレクトロニクスは同1876億2700万円。加賀電子の20年3月期売上高予想は4,300億円となっている。
上場電子部品専業商社の上位3社は、いずれも売上高5,000億円を巡る攻防が続く状況となっている。
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